郷土料理は現地で食べるのが一番旨いに決まっている。東京で本場の味といわれても、やはり何かが違うものだ。きっとここもそうだろうと思っていたら……見事に裏切られた。「こんなに沖縄料理って美味しかったっけ?」というのが正直な感想。「現地と同じ味を出しても、美味しいと思わないかもしれませんよ。空気が違う。気候が違う。気分だって違うでしょ。だからウチでは料理をヤマトの空気にあわせているんです」。こう話すのは“おやじ”こと店長の田村巧一さん。ここでは食材のほとんどは沖縄から空輸しているが、味付けは完全なオリジナルだ。
島の時間には、ひと通りの沖縄料理が揃っているが、なかでも定番メニューの「ゴーヤーチャンプルー」は人気料理。シンプルであるがゆえに、ごまかしがきかない。この一品で店のすべてが分かるといっても言い過ぎではないだろう。緑鮮やかなゴーヤーは苦みがなく食べやすい。普通は全卵をひとつ使うが、ここでは卵黄をひとつ分、加えてある。味が濃厚になるだけでなく、見た目にも美しくなるからだ。もちろん豆腐は炒めても簡単には崩れない島豆腐。味付けにも工夫が凝らされている。しょう油を使うのが一般的だが、ここでは粟国の塩のみ。ラードに至っては自家製というこだわりよう。出所の分からないものは一切使わない。食の安心・安全には細心の注意を払っているという。食の安全性が問われる昨今、頼もしい限りだ。
この店のもうひとつのコンセプトが泡盛。一部の銘柄しか置かない店が多いなか、ここでは沖縄県の全48蔵元の泡盛を取り扱っており、珍しい泡盛と出会える店でもある。各テーブルには48蔵元を記したマップが置かれていて、いつでも「泡盛スタンプラリー」に参加できる。10杯クリアすると、もう1杯サービス、30杯クリアすると、料理1品サービスといった具合にモチベーションをあげる特典があり、48蔵元すべてを制覇すると泡盛古酒一升甕をもらえる。今までクリアしたのは5名。泡盛を使ったオリジナル・カクテルも用意されている。
オープンして1年。池袋駅東口から徒歩2分とアクセスは良好だが、ビルの地下2階にあるので少々場所が分かりづらい。店内のBGMは控えめで、沖縄料理店というよりはリゾートテイストの居酒屋だ。座席は個室中心の落ち着いた雰囲気で、オトナの沖縄を堪能できる。沖縄料理は夏のイメージが強いので、10月から「水炊き」をスタート。今年の冬はコラーゲンたっぷりの地鶏で新たな沖縄料理を味わうことができる。





